2019年12月日記Z

12月30号(周一)

2019年重大事件



インフルエンザにかかりました。


会社で流行っていて、どうも体調がよくないので「もしかしてオレもか?」と思って医者に診てもらったら、


「典型的なインフルエンザA型です」


と言われて、薬をもらって帰った。


もらった薬を飲んで寝ていると体温が40度くらいまでぐんぐん上がって、じぶんとしてはそんなに体温が上がっている感覚はないのだけど、


「ウイルスと戦ってるんだなー」


っていう感じは体内から伝わってきて、一晩寝て「おさまったなー」って思ったら、パジャマがびちゃびちゃだった。


「ジュースでもいいから水分をとりなさい」


というのは、こういうことだったのか....


インフルエンザの治療じたいは、この薬を2錠飲むだけで終わり。


体調も発熱してから3日後には良くなってきて、ベッドで寝ていなくても過ごせるようになった。


去年は開発に追われて残業260時間/月とかやっていて、体がへばっていたからインフルにかかってもおかしくないのだけどインフルにはかからず、今年は転職して残業もほとんどしていないし、ご飯もちゃんと食べているからインフルにかかるはずがないのにかかった。


人間のからだのメカニズムはよくわからない。






体調が回復したとはいえ、まだ語学の勉強をする頭の体力はないし、外にも出られないので読書をしていた。引き続き、中国&韓国関連の本。



しっかし、この本は強烈だった。


日本もけっしていいとは言えないけれど、韓国に比べたら天国だわ。


一国のコントロールを誤ると、ここまでひどいことになってしまうのか...


ほんとうにこわい。


巷では安倍政権批判をよく耳にするけれど、ビジネス界隈ではあまり批判の声が聞かれない。というのは、経済、金融政策がそこそこ当ってるんですよ。ここ最近は、めちゃくちゃな円高になったりもしてないし。


そりゃ、ケチをつけたらキリがないけど、100点満点の政権運営なんてないし、比較対象として韓国の現状をみれば、日本の政治はよく頑張っていると思わざるを得ない。


ホントに 汗。。。


韓国人が、自分たちの社会が「おかしい」と気づいたのは、1997年の年末に韓国を襲った「IMF危機」がきっかけだった。「IMF危機」とは、財政破綻の危機に直面した韓国政府が、IMFから資金援助を受けるため合意文書を締結し、国家財政の「主権」をIMFに譲り渡したものだ。

(中略)

金大中政権は発足当時、「民主主義と市場経済の並行発展」を国政のモットーとする「DJノミクス」を提唱した。経済危機を招いた根本的な原因を、これまで30年余りにわたって続けられてきた政経癒着と不正腐敗、モラルハザードによるものと見なし、その改善のため、自由放任ではなく政府が積極的な役割を果たすとする経済政策だ。つまり、公正な競争が行われるように市場のルールを決めて、市場を監視し、個人の努力や能力によって正当な報酬がもらえるシステムを作るというのが政策の核心だった。しかし、実質的に金大中政権が実行したのは、資本市場の開放、国家規制の緩和、公企業の民営化、そして労働市場の柔軟化およびリストラ強行など、新自由主義的な政策ばかりだった。

このような金大中政権は、韓国初の進歩派(左派)政権であるにもかかわらず、IMFからの要求よりもさらに強力な新自由主義的経済改革を推進した。金大中大統領は米国から、「IMFソウル支店長」の異名を頂戴したほどだ。

金大中政権の「劇薬療法」によって、3年8ヵ月後の2001年8月23日、韓国はIMFから借り入れた資金を早期に返済し、経済主権を取り戻した。しかし皮肉なことに、この過程で韓国社会の両極化と所得の不平等は、さらに深刻化したのである。特に、「苦痛の分担」という名のもとに施行された整理解雇制と労働者派遣制などの労働市場の柔軟化政策は、中産層の崩壊を招いた。

大規模なリストラで失業者は400万人を超え、サムスンや現代(ヒョンデ)、LGのような屈指の財閥企業ですら、「新卒で入社すれば定年まで安泰」という終身雇用の不文律が破られた。また、派遣やパートタイマーなど非正規労働者の採用が法律で許可され、「88(パルパル)世代」(ソウル五輪が行われた88年と月収88万ウォン=約8万円を掛けている)という自虐的な言葉が流行語になった。

現在、韓国の就業者の20%以上、大手企業の労働者の約4割が非正規職であり、深刻な労働問題となっている。金大中政権の急激な新自由主義的経済改革により、韓国はIMF危機という「急病」は治療できたが、「重い後遺症と慢性疾患」を抱えることになった。それが、社会の二極化と、社会階層の定着化である。

(中略)

たとえ正規雇用者であっても、会社がさらに不景気になれば、いつリストラの対象にされるかもしれない。そのため、リストラの心配がない公務員になることが、韓国の子供たちの最大の夢となっている。国の将来を担う子供たちが、「将来は公務員になりたい」とは、どれほど熾烈な社会状況なのかを如実に物語っている。

金敬哲『韓国 行き過ぎた資本主義』講談社現代新書pp.9-12. 抜粋して引用


「スペック(SPEC)」とは、ここでは就職に必要なスキルや資格を指す。(中略)韓国の大学街では、就職に必要な「8大スペック」と呼ばれるものがある。出身大学、大学の成績、海外語学研修、TOEICの成績、大手企業が大学生を対象に開催する公募展、資格、インターン、ボランティア活動である。

(中略)

「大手企業に採用されるためには、TOEICは900点以上ないと安心できません。中国語も3級では安心できないので、次の試験では5級の資格を取るつもりです」

(中略)

「大手企業に入社するには、出身校がTOP5(ソウル大学、延世(ヨンセ)大学、高麗(コリヨ)大学、西江(ソガン)大学、成均館(ソンギユングアン)大学)でないと難しいとされているんです」

(中略)

チェさんのように、たくさんのスペックを保有していながら、安定した職に就けない若者たちのことを「IKEA世代」と呼ぶ。教育水準とスペックは優れているが、就職難で未来設計ができない20代を、スウェーデンの家具ブランドIKEAに喩えた流行語だ。IKEAは優れたデザインで価格も比較的安くコスパが良いとされており、新郎新婦や新社会人が短期間使う目的で購入することが多い。同様にIKEA世代は、各種資格と語学研修など以前の世代に比べてはるかに高い能力と条件を備えているが、非正規社員インターン契約社員など低い賃金で短期間雇用されることが多い。リーマン・ショックを経て、2013年から本格的に低成長時代に突入した韓国では、良い大学を卒業して、高いスペックを持ち、海外留学まで行ったとしても、決して安定した職に就けるとは限らないのだ。

金敬哲『韓国 行き過ぎた資本主義』講談社現代新書pp.87-89. 抜粋して引用


文在寅政権は、韓国経済の低成長と社会の二極化の問題を同時に解決するため、経済パラダイムの転換を図った。つまり、金大中政権以来の新自由主義から脱却し、積極財政による「大きな政府」を作ることで、分配と成長を並行して実現しようとしたのである。

(中略)

しかし、政権発足してから2年が経った時点で、早々と、文在寅政権の未熟な経済政策が、むしろ韓国経済を悪化させたという批判に直面している。何より、2020年までに最低賃金を1万ウォンにするという公約を守るため、2年間で3割近く最低賃金を引き上げたことが、韓国経済の命取りとなりつつある。

まず、自営業者が急激な最低賃金引き上げの影響を受け、廃業するケースが続出している。また、多くの韓国企業は、恒常的に外国企業との激しい競争にさらされており、一方で、最低賃金の引き上げと週52時間労働制の施行により人件費が上昇。この内憂外患によって、首が回らない状態になってしまった。そのため海外に生産拠点を移したり、甚だしいところでは本社を海外に移転させるという「エスケープ・コリア」現象まで起きた。

当初、文在寅政権が意図した雇用増加とは正反対の方向に事態は動いてしまい、若者の就職難はさらに悪化している。また、人件費の上昇によって韓国企業の競争力が落ち、経済の各種指標は「IMF危機以降の最悪」、あるいは「リーマン・ショック以後の最悪」を記録している。

加えて、文在寅政権の財閥や大企業を嫌悪する空気が、景気に悪影響を及ぼしている。輸出中心の韓国経済の特性上、大企業が活力を失えば、経済は破綻に向かう。ところが、文在寅政権が財閥改革と称して財閥への締めつけを強化したため、大企業は投資や研究開発など積極的な活動を自制するようになった。

企業経営が悪化すれば、当然税収も減り、政府の財政も悪化する。結局、「噴水効果」の目玉政策だった最低賃金1万ウォンと週52時間労働制が、低所得者層の所得をさらに減少させるという最悪の事態になってしまった。

金敬哲『韓国 行き過ぎた資本主義』講談社現代新書pp.200-204. 抜粋して引用


韓国の大学受験は大変だとか、サムスンにはTOEICで満点を取っていないと入れないとか、そういう情報はちらほら耳にしていたけれど、意味のない競争、将来役に立つかどうかわからない勉強、


「無限競争社会の苦悩」


韓国がここまでひどくなっているとは、正直思っていなかった。




とはいえ、これは決して他人事ではなく、日本もいまの韓国のような状況に陥る危険性はじゅうぶんにあった。韓国が「IMF危機」で苦しんでいた1997年前後、日本でも同様に2000年代(ゼロ年代)の小泉政権下で、新自由主義が猛威を振るっていた。


新自由主義については、僕もけっこう勉強したし、本屋で働いている時にトークイベントも企画した。


masayukisakane.hatenablog.com



新自由主義の功罪はさまざまあるだろうけど、一番問題となるのは、


それを唱える主体が誰なのか?


ということ。


そして、当時猛威をふるっていた新自由主義の主体は、日本でも、韓国でもなく、欧米諸国だったということ。


ま、この時の日本は、韓国ほどのダメージを受けずに済んだけど、それ以前に1985年の「プラザ合意」によって、今の韓国の比にならないくらいの大打撃を受けているからね。




日本:1985年「プラザ合意
韓国:1997年「IMF危機」


これは正直、国が滅んでもおかしくないくらい大きな過ちだから、「なぜ太平洋戦争をしたのか?」と同様に、「日本はなぜプラザ合意を受け入れたのか?」、「韓国はなぜIMFの介入を受け入れたのか?」についてはよく勉強し、肝に銘じて反省せねばならないでしょう。


また今後は欧米諸国だけではなく、中国も台頭してきているので、ますます世界情勢が読みづらくなる。


来年もいろいろ勉強せなあかんね。





12月14号(周六)

クオリティかスピードか



ハングルをいちおう覚えたのだけど、無意識のスペルミスが頻発する。


× 한물권 →  박물관(博物館)
× 줄구 →  출구(出口)
× 굼연 →  금연(禁煙)
× 안경하셔요 →  안녕하세요(こんにちは)
× 잀다 →  읽다(読む)


ハングルは日本語でいえば、ひらがなにあたるから間違えようがないのだけど、なんというか、カタカナの「シ」と「ツ」、「ン」と「ソ」、あるいは「ヂ」と「チ」と「ジ」と「シ」の使い分けを間違えるというか...


いやいや、ハングルはもっとシステマティックでルールが多いから覚えるのが難しいのだろう。


間違えを恐れず、書き続けるしか克服する道はない。




最近は、空き時間に語学の勉強をしていて、本をほとんど読んでいないから、頭がどんどん悪くなってきている。


むかし本屋で人文書の担当をしていたときは、新書を読んでいる人を


「サラリーマンかよ」


って、ちょっとバカにしていたけれど、


今はがんばっても新書を読むのがやっと。


「サラリーマンかよ」


「はい。サラリーマンです」




そんななか、最近読んでいて面白かったのは、この2冊。



どちらも中国人や韓国人の習性とその所以がうまくまとめられている。


なるほど、なるほど。


たとえば、中国人や中国製品について、多くの日本人は次のような印象を持っているのではないか。


・マネばかりする

・安かろう悪かろう



中国のドラえもん



中国の人型ロボット


これは日本でネタになっていて、中国に対する笑い話としてしばしば取り上げられる。


しかし、この本を読んでいるとそうも笑っていられない。


クオリティの日本人、スピードの中国人

中国企業を体験した人の9割が言及するのが、とてつもないスピード感である。滝澤も同様だ。百度に入ってまず驚嘆したのが、「とんでもないスピードで仕事が動いている」ことだった。

「たとえば、日本ならば2か月はかかるプロジェクトを2週間くらいであげてくるんです。中国国内のITが、ものすごいスピードで進んでいるということが理由にあるんですね。1日遅れたら他社に出し抜かれてしまう。そういう焦燥感のもとで、中国IT企業というのは仕事していたんです」

このスピード感から、日本企業とは大きく異なるベクトルが示されてくる。
それはたとえば、クオリティかスピードかの選択が、常に突き付けられることでもあった。

ひとつのプロジェクトに対し、そのタイムリミットを、1週間で区切るとする。きっちり1週間後、それは提出されてくるのだが、時間を優先させたので、完璧なものでないことも起こりうる。

「もちろん期限内の1週間で、計画した通り、10割完璧なものを出していきたいと思いますよね。時間はくる。でも内容は100%に到達していない。そんな時、彼らの判断は、とりあえずこれで行きましょう! ということになるんです。後のことは、市場に出してから考えましょうと」


とにかく早く市場に出す

日系企業の場合それはあり得ない。クオリティかスピードかの選択を迫られた場合、ほぼクオリティを選ぶ。

「僕らにしたら、やはりユーザーからの絶対的な信頼を得たいという思いがあるんです。僅かな問題があったとしても、『だから中国企業は....』とか、『こんな中途半端なものを出して...』などと言われてしまう。だからあくまでもクオリティ重視でいきたいとは思うんです」

しかし、クオリティかスピードかの選択のなかで、滝澤たち日本人チームと対立することも多々あった。

もちろん中国本社の大切にするスピード感というのも、発展に欠かせない重要な要素である。まず出してみる。出してから考える。ITだけではない。中国の企業はこの方式で、おおいに成功を収めてきているのである。

このプロセスのなかで、滝澤は大きなものを学んだ。
不完全でも、とにかく史上初のものを市場に出す。まずはユーザーの声をかき集めそれらの声を聞き、どんどん改良していくのである。

「(一般的に)ユーザーにとって、最低限のクオリティで出し、ユーザーの声を吸収して、改善のサイクルをどんどん回していく。これを大企業でも行っているんです。ものすごいコストをかけて失敗したらシャレにならないですよね。こういうところは、ものすごく賢いと思います」

青樹明子『中国人が上司になる日』日経プレミアシリーズ pp.68-71.


この判断はものすごく難しい。


ただ僕じしんも開発の現場にいて日々思うのは、


「完璧な開発品なんて絶対にできない」


ってこと。


どこかで腹をくくって


「エイヤー!」


で出さないとアカンし、リスクのない開発品なんてない。


開発は出すまでもけっこう大変なのだけど、市場に出したら開発の仕事は終わりではなく、


出してからがむしろ本当の勝負!


日々改善に努め、市場の声より改善のスピードが勝るようなサイクルに持ちこんでいって、商品を市場に定着させる。


これはめちゃくちゃ難しいし、ものすごくセンスがいる。


でも、実際開発ってこういうことですよ。


そういう意味では、日本の開発のスタンスよりも中国の開発のスタンスの方が正しいとも言える。







 

 

 

 

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