2011年1月(その1)




(1月15日)読書デー


■ やろうと思えば、やらねばならないことがいくらでもあるのだけどキャンセルして、一日読書。


読書人図書新聞チェック



  




   《読書人》




1面は平野啓一郎だ! 75年生まれの同い年。デビューした時はさすがに意識したけど、「なに!オレと同い年の野郎が芥川賞だと!」。今はあまり意識していない。人生いろいろ。ただ彼がいま何を考えているのかは気になる。



中学生ぐらいの時に、教室のみんなが喋っていることと、自分が感じていることと、何か違うなと思っていた。でもトーマス・マンの小説とかを読むと、同じように感じている人がいると思えたわけです。そうやって共感しているのが、読者の段階。作家の段階になるというのは、そこから、もう一回、大勢の人たちに向かって、自分はこんなことを考えていて、それは自分だけではなくて、実は「文学」という世界では、色んな人が近いことを考えてきたんだと、表現することだと思うんですね。自分と、教室にいた彼らと、まったく関係がないとは思いたくない。ですから、自分が考えていることは、文学に興味のない人にこそ、読んでもらいたいと思っています。その為に、読みたくなるような小説とはどういうものか、読みはじめて、途中でやめたくならない書き方とは、どういうものなのか、今回は、いつにもまして考えました。

なるほど。





かたちだけの愛

かたちだけの愛







   図書新聞




やっぱり佐々木中かな。 佐々木中氏が書いたこの書評、書評として適切かどうかは何とも言えないけど、「ああ、中井久夫『日本の医者』を読もう」って思った。間違いなく。そして、この書評の読後感が『切りとれ、あの祈る手を』のそれと似ているので、ちょっと驚いた。


『切りとれ、あの祈る手を』は大方好意的に受けとめられたけど、やはり批判が出たね。例えば、福嶋亮大氏が「情報と文学の関係」と題して真っ当な批判を展開している。また松本潤一郎氏も『読書人2011年1月7日号』で、本書のごく一面であると断った上で、佐々木中氏の論法上気になった点を指摘している。


本書には膨大な量の引用と(固)有名と数値が現れる。しかし、繰り返すが、重要なのはそれらに依拠して権威を誇示することではなく、逆に、いかにそれらが本書にとって権威なのか、をみずからに問うことではないか。「古典」として評価の定まった固有名や数値に依拠して「文学」の存在意義を説く本書最終部の態度は、本書の姿勢に反している。文学は、むしろ残らなかったもの=無名性の側に就くことからはじまるのではないか。さらに、無名の生を描きうるからこそ、文学は擁護されるべきではないのか。


松本潤一郎「切断と接続の運動」『読書人2011年1月7日号』所収より)

あと僕が気になったのは《第三夜》。ナチスやオウムを否定したいという気持ちは分かるのだけど、だからといって終末論者をばっさりというのはいかがなものかと。僕だって「自分はいつかは死ぬし、世界もいつかは終わる」と思っている。そういう意味では終末論者ということになるのかもしれないけど、だからと言って「自分の死に世界を巻き込もう」なんて思ったことはない。わざわざ言うまでもなく。さらに言えば、カント的な自律の文脈で思考すれば「自分が、あるいは世界が、終わるか、終わるまいかに拘わらず、「生」を尊ぶ」というのは当たり前のこと。


『切りとれ、あの祈る手を』には圧倒的な才能を感じると同時に違和感もある。とにかくまずは読んで欲しい。そして、こういったことをもっとオープンに議論できればと思う。





日本の医者 (こころの科学叢書 )

日本の医者 (こころの科学叢書 )




(1月14日)パターン/ゴダールオートポイエーシス

    《入荷情報》

『思想地図βvol.1』1月14日午後5時販売再開@ジュンク堂新宿店


  



■ 土日に間に合いましたよ!ご来店お待ちしています!!





    《私の読書状況》



パターン/ゴダールオートポイエーシス


  





■ この3冊はけっこうシンクロします。まだコメントができる程読み込めていませんが、いい感じ。




河本英夫さんの文章が一番読みやすいのだけど、





   「そのつど」





って、ここまで連発されると、「人間ってそこまで〈そのつど〉な生き物なのか?」ってツッコミたくなりますね(笑)。




ま、じっくり読ませて頂きます。





    《他人の読書状況》




■ 建築家の難波和彦先生の『思想地図β』の読みがすごい。


神宮前日記2011年1月10日〜


■ まだ第一部だからね。第二部になったら大変だよ。



■ アレグザンダーを語る際に、アレグザンダーの現場を知っている数少ない建築家である難波先生が入っていないというのは惜しい



建築の四層構造――サステイナブル・デザインをめぐる思考 (10+1series)

建築の四層構造――サステイナブル・デザインをめぐる思考 (10+1series)




(1月13日)同時多発フェア

    《入荷情報》

『思想地図βvol.1』明日、14日午後3時頃再入荷予定@ジュンク堂新宿店




『思想地図βvol.1』よ!



棚の準備はできてるよ!



ライバルたちもスタンバイしているよ!



ウェルカムですよ!!




《同時多発フェア@ジュンク堂書店新宿店人文コーナー》 



  


  


  


  


  
  
  
  


   目撃証言




(1月12日)プレイボール!

  






プレイヤーに届け! ことばのボールパーク




     『野球場』



       創刊準備中!!

■ 本日プレイボール!!



メンバーで野球談話。



至極幸せ。



いままで生きてきたなかで一番おいしいお酒だったかもしれない。



    《本日のイチオシ》

  広池浩司打撃投手




(2011111)フィーバー!!!!!

   



■ 神谷町→赤羽橋→麻布十番を散歩



■ 東麻布にある松野勉&相澤久美さんが主宰するライフアンドシェルター社の新年会にお招き頂きました。ありがとうございます。



■ 建築家とキュレーターと構造設計家とランドスケープアーキテクチャとエディターと書店員で歓談。



■ 実りある話ができました。



■ 2011年が始まった!




(1月10日)マリリンに逢いたい

おやおやおや



またまたまた



マリマリマリリンリンリンじゃないか。




朝吹真理子宮崎誉子青木淳悟




《豪華競演》夢のゴールデンリレー!



  


車内では全体でカラオケという雰囲気でもなく、担任はガイドに車内ビデオの操作を頼んだ。見る映画は二人で相談して決めた。到着までに二時間弱の時間があり、映画を一本見終わる頃には長崎だった。



留学生にとってはどれも外国映画ばかりとなり、洋画としても日本語吹き替え版のみで字幕ものは見当たらなかった。しかしこれは一つの文化であるし、映像を見るだけでも日本についての勉強になるからと、ここであえて邦画を選ぶことは十分に考えられた。



タイトル選びでは上映中に寝ようとする者への配慮までしつつ、全体で安心して楽しめるものにしようとの意思が働いた。リストにある『釣りバカ日誌』や『男はつらいよ』のシリーズはテレビでよく見る人気娯楽作品だが、それらでさえ高校生には「大人向け」だと感じられ、他に山田洋次監督の数本もまた同様の理由で却下された。



ガイドによれば一番最近の作品に、角川春樹監督・安達祐実主演の『REX 恐竜物語』があり、今度はあまり子供向けなので選択肢から外れると、最後は「海が出てくる映画」を理由に『マリリンに逢いたい』を見ることに決まった。劇場公開が一九八八年、十年以上前の作品だった。



暗幕代わりのカーテンを閉め切ると鑑賞会の雰囲気が出てきた。天井に吊り下げられた二台のテレビを見上げる生徒達の顔が青白く染められた。タイトルを見て懐かしいという者が多く、「小学生の頃見に行った」との声もあった。担任が生徒の反応を直接見るには首を伸ばして振り向かなければならないが、上映中はなるべく動かないようにしていた。



移動時間の長さにしても六限目あたりという時間帯にしても、眠くなる要素は多かったはずなのに、最後までみな起きていて担任は少し驚いた。当初は話しながらテレビ感覚で観ていた様子がいつしか真剣に見入るようになり、映画が終わる頃にはみな晴れ晴れとした表情になっていた。



青木淳悟「私のいない高校」『群像2011年2月号』所収より)




うむ! 往年の夏目漱石大先生を彷彿させる迷文ですな!






もはやいったいなにがゴールデンなのか?



もはやいったいなにが純文学なのか?





そう言えば、たしか三浦大輔が言っていた。


100%不純なら、それは純粋なんだ!




ああ、まぎらわしい。





ちなみに、



三浦大輔って、横浜ベイスターズ三浦大輔じゃなくて、100%不純な方の三浦大輔ね。





ああ、まぎらわしい。





じゃ、さいごに1曲!





カナダから来たブラジル人留学生に捧ぐ


《グランチャコー愛のテーマ》


ブラジルじゃなくて、パラグアイの曲だけど!!






(1月9日)千葉ロッテマリリン

POP職人の宮崎ねえさんご来店。お菓子をたくさん差し入れしてくれました。みんなで美味しくいただきました。ありがとうございます!!!




  宮崎誉子作「柴崎友香フェア用POP」



宮崎ねえさんの本職はなんと小説家です!!



まぁ、なんと!!



なんと、なんと、マリリンを主人公にした小説も書いてるんですよ。


マリコごめん、あたしさっきの里子に出されたって嘘なんだ」



「・・・嘘もつかない人間なんて面白くないよ」



二人同時にマグカップに口をつける。



「お姉さんが働く道を選ばなかったら、マリコが働いていたかもしれないんだ」



「・・・たぶん」



マリコ生活保護は?」



「ハチソノ刑事になれば?」



「ごめん、余計なお世話だよね。うちはママが無理してバリバリ働いてくれるから、マリコほど生活が貧しいわけじゃないけど・・・あたしの心は貧しいままなんだよね」



「・・・心の貧しさをテーマに書いてみる?」



「そんなのライトノベルじゃなくてヘヴィノベルじゃない」



「ハチソノの無駄なプライドが邪魔するかぎり、賞に応募する以前の問題じゃないの」



マリコ、急に別人みたいでキモチワルイよ」



私は吊るして飾ってあるネックレスの数をかぞえていた。



「キモチワルイって本気にしないでよ!!」



「・・・うん」



「あたし倉庫でバイトする前に一日だけ、こんにゃく工場でバイトしてたんだけど、あまりにもこんにゃく臭くて・・・バックレた」



「それも嘘なんでしょ?」



「ううんマジで」



「・・・なんで、こんにゃく工場を選んだの」



「ママの弟が経営者だから」



「それは嘘だよね?」



「うん、マリコも少し大人になったよね」



「こんにゃく工場どうだった?」



「なんか給食おばさんぽい帽子に白いロングエプロンに白長靴にゴム手袋が鉄則でぇ、こんにゃくをデッカイ桶で湯がいたり、それを糸こんとか三角に型抜きするんだけど、こんにゃくがハンパなく熱くてゴム手袋がムレムレ蒸れて、か〜な〜り臭かったの!!」



「・・・大変だったね」



「あたしはラベル貼りの途中でバックレたけど、マリコのママはどれぐらい働いたの」



「・・・三ヶ月は続いてたよ」



「根性あるじゃん」



ハチソノの部屋のカーテンは淡い桜色だ。



宮崎誉子「人生は流せない」文藝2010年春号所収)


いまをときめく朝吹マリリンとはちょっとだけちがう世界のマリリンだけど、すっごくいいよ。オススメだよ。宮崎ワールド!






文藝 2010年 02月号 [雑誌]

文藝 2010年 02月号 [雑誌]


派遣ちゃん

派遣ちゃん




(1月7日)マリリン vs.トントン

同僚の青木さんの旦那さんが久しぶりに小説を書いたと聞いたので『群像2月号』早速買ってきて読み始めました。



   




こらー!



あおきー!!



なにかいてんだー!!!




青木君はあいかわらず、明明後日の方向へまっしぐら。




地球の裏側にたどり着くのも時間の問題でしょう。




それにつけても




ブラジルの新大統領でけぇーな。





(1月5日)紙媒体 活用しよう 2011

■ ゆっくりとしたペースで2011年に入りました。これからどう動くのか? だいたいイメージはできているのですが、今はまだ手探りです。



■ 昨年『組立』に寄稿した文章でこんなことを書きました。


そしてもう一つ拘りたいのが情報のインプット/アウトプットについてです。再び堀江さんのコメントを引用します。



私はそれでも雑誌を買っているほうだと思う。週に20〜30誌は読んでいるのだから。ところが、iフォンを持つようになって、雑誌の絞り込み化をするようになった。


情報をインプットする最適な方法を考えると、雑誌を読むのに割く時間がだんだん少なくなってきているのだ。最近までゴルフ雑誌を週に4、5冊買っていたが、もう完全にリストラしてしまった。


堀江貴文『人生論』より)

このように堀江さんはiフォンで全てを完結させているようです。それだけでビジネスが成立するような情報収集と発信が可能だというのです。しかし、あえて私は情報のインプットについて紙媒体を積極的に活用しようと思います。図書新聞ミニコミ誌、文芸誌などを情報源の一チャンネルとし、摂取した情報に独自のカラーを付加して発信していく。そして、ツイッター、ブログ、店でのフェアやイベントを連動させていく。また動画配信などにも取り組んでいきたいと思います。


ま、ハッタリもかましてますけど、2011年はだいたいこういうことをしようと思っていたんです。という訳でさっそく図書新聞2誌(『週刊読書人』、『図書新聞』)をチェックしました。これがけっこうビックリですよ。ま、新年特大号だからということもありますけど、充実してますね。今日はまず『読書人』の感想を!




  新たな思想の地平へ




   



   話をうかがっていると、ひとつの社会運動みたいな感じですよね。


 社会運動、文化運動・・・どうでしょう。でも、「運動」という言葉がつくと、ちょっと違うんですよね。ひとつの理念を掲げて、それに付いてこいではない。まず楽しませる。たとえば異業種の人たちが初対面で会った時に、最初から共通の話題があることって普通はないですよね。そういう人たちが、どこで繋がっていくのか。ひと昔前だったら、マルクス主義であるとか、そういう理念が繋いでいたのかもしれません。でも僕たちの世代には理念がない。その時に、人と人とを繋ぐものって何か。やっぱり一緒にやっていると楽しいとか、そんな感情的な部分しか繋がれないと思うんですね。論理や理念だけで突き詰めていくと、言論はどんどん痩せ細っていくわけです。言論の力をもう一回活性化する為には、言論以外の力が必要で、それを大事にしている言論誌が『思想地図β』なんです。

なるほど。実は、栗原幸夫さん(1927年生まれ)も同じことを言っていました。社会運動に挫折した人と言ったら失礼かもしれませんが、そういう人も、東さんとは背景が違いますが、経験的に同じことを言っていました。



確かに感情で人と人が繋がるというのは、ご存知の通り恐いことでもありますよ。でもね、人間活動の根本ってやっぱり「生きている!」という実感があるかどうかですよ。すなわち「楽しい!」と思えるか。



オレ? 今、人文書売場は正直「楽しい」ですよ。



 現状で僕だけひとり評論書いて、孤軍奮闘していてもどうしようもない。場全体を変えなければいけない。

うん、変わりますよ。



あとは、楽しむだけじゃなくて、売れない人文書売場の売上を向上させればいいんでしょ。



ま、なんとかしますよ。




(1月4日)Dynamite!!ジュンク新宿

   現代思想 VS. 思想地図β




  



  



   いきなりのアクシデント!!!



  



《思想地図βvol.1 在庫情報@ジュンク堂書店 1月3日現在》


■新宿店撃沈。池袋本店たぶんダメ


■渋谷店、大宮ロフト店は在庫あり。


■大阪本店・MARUZENジュンク堂梅田店にも在庫あり。


■札幌、京都BAL、福岡は微妙?


■在庫ある店から取寄せ注文は受付しています。ぜひ!!



(1月3日)あけましておめでとうございます。













 阪根タイガース日記2010年12月


 阪根タイガース


 阪根Jr.タイガース