2011年7月(その2)




(7月31日)

   《ブログ活動休止・転職のご報告》




「まだジュンク堂書店新宿店が閉店すると決まった訳ではないのに、なぜ?」と疑問に思うかもしれませんが、5月12日に新宿三越アルコットの閉店が発表された後、5月20日に従兄にたまたま会い「店がなくなるかもしれないんだ」と話したら、その日の晩にTELがあり「今だったらうちの会社で雇ってあげるけど来るか?」と言われ、6月3日に会社訪問をして、6月9日に「お世話になります」と伝え、そして6月10日に店長に退職願いを出しました。



日付を並べるとえらくあっさりしているのですが、実際は複雑な事情がいろいろと絡み合っています。ジュンク堂書店でせっかく5年も頑張ったのだから残る道を探るべきではないか、でも閉店になれば残れる人と残れない人に分かれるのだから、そういうの嫌だから辞めてしまおうか、もともと物書き志望なので、なんとかそれを実現できる道を探るべきではないか、でも原稿料で食うのは無理だし、だったらフリーは無理でも出版関係の就職口をほかに探すか等。何人かと相談もして、アドバイスや意見ももらったのですが、いろいろ考えることはあったのですが、迷いもあったのですが、とんとん拍子で決まりました。いや決めました。



ただもっと正直に言えば、5月12日以前に、「もうこの生活限界!」と感じていて、5月12日に「三越閉店」と社員の方から聞いた時、「ああ、やっと終わった」という感じでした。その時の気持ちは、悲しいというよりも正直「ほっとした」という感じでした。



もともと正社員になりたくて働き始めた訳ではなく、会社を恨んでいる訳でもありません。ただ社会問題にもなっているように、契約社員として長年働き続けるというのは、モチベーションを維持するのが難しく、体力的にも精神的にも厳しいです。1年、2年なら問題ないのですが、3年、4年となってくるとじわじわとダメージがきて、ある時突然、「ああもう限界!」という感じになります。



このような厳しい条件であるにもかかわらず、文句も言わず黙々と働き続けるかつての同僚や、派遣社員生活をずっと続けている小説家の宮崎誉子さんは本当にえらいとつくづく感じます(ただ私が経験したリアル書店の現場について言えば、正社員であっても決して優遇されているとは言えず、みな一様に厳しい条件の下で精力的に働いています)。



また私自身、年齢が35歳ということもあり難しい時期でもありました。書店員とライターの二足のわらじ生活、時間的にも体力的にも収入的にも厳しい生活をずっと続けるなかで、幸い原稿の依頼なども頂き、出版関係者との人脈も着々と築いていました。これ以上ないぐらいうまくいっていたのですが、にもかかわらず今後の収入のアップがなかなか見込めない。改善の余地があるならまだしも、うまくいっているのにダメというのはさすがに厳しい。このまま続けるのは難しいと判断しました。両親ももう何時倒れてもおかしくない年ですから。




今度勤める職場はスーパーレジン工業という会社で、私が配属されるのは図面の作成や構造計算をする部署なので、以前やっていた建築の設計に近いと言えば近いのですが、はっきり言えば全くの畑違いです。 一応ちゃんと生活できる給料はもらえるので、その点は心配ありませんが、そもそも私は化学が専門ではないので複合素材については全くの素人であり、果たして5年後、この会社のためにどのような貢献ができるのか、私自身この仕事に生き甲斐を感じられるのか、現時点ではなんとも言えません。ただ与えて頂いたチャンスなので精一杯頑張ります。




さて。転職を決めたら、体に力が入らなくなり、本を読む気力がなくなりました。もちろん、新しい仕事に対応するために技術書等は目を通しますが、ちゃんとした「本」を読む気にならないのです。



しかし、これがある意味、私の唯一残された可能性かもしれません。つまり、今までは思想書や小説を売るのが仕事だったので、思想書や小説を読むことは一番身近な行為でした。それが新しい仕事に就けば、おそらく一番遠い行為になります。そのなかで思想書や小説を果たして読むことができるだろうか? これを自らを実験台にしてやってみればいいかと思います。



私はずっと物書きを目指していたのですが、書店員をするうちにメンタリティが少しずつ変化していきました。特に人文書を担当していたこともあり、同世代の有望な書き手。例えば白井聡さんや國分功一郎さんのような仕事は私にはできないので、そういった有望な書き手を掩護射撃することこそが私の仕事だと感じるようになってきました。だから売場を離れても、今度は純粋な読み手として、彼らの活動を応援できればと思います。



今後の活動については個人ブログが中心になりますが、新しい仕事を覚えねばなりませんし、自分自身にケジメをつけるためにも、しばらくはブログの活動を休止しようと思います。その後、活動の体制を整えた上で再開し、今よりはずっと地味になりますが、毎週末書評や劇評をアップするといったあたりからまた少しずつ動き出そうと思います。



5年後に独立などを考えるかもしれませんが現時点では全くの白紙です。ともかく今は、新しい仕事に専念し、またこれまでお金を稼ぐということに無頓着過ぎたので、これからはビジネス感覚も磨いていきたいと思います。



今まで温かいご声援をありがとうございました。
また、みなさまとお会いできることを楽しみにしています。



明日へ



2011年7月31日
阪根正行






  




(7月30日)ウゴウゴインタビュー掲載!!!!!

  



maremagazineのウェブサイトに僕のインタビューが掲載されました!



稀会のみなさん、ありがとうございます!!!!!






書店員としてインタビューを受けたのですが、聞き手が建築畑の方なので、面白いインタビューに仕上がっています。


今度また転職して技術屋に戻りますが、建築の設計をやってから書店員になるというケースは稀なので、そのあたりをつっこんで聞いてくれました。


僕もかなり変な人生の歩み方をしているので、そういった意味でも楽しんでもらえるかと思います。


かなり長いですが、ぜひ!


    ↓↓↓↓↓↓

  ウゴウゴ化する世界《第3回》




  阪根正行氏




(7月29日)阪根堂書店オープン!?

7月27日で仕事納め。



ジュンク新宿店で5年半。長かったような短かったような。



閉店後、ジュンク堂新宿店の友がこれ以上ないというぐらいすばらしい送別会を開いてくれました。






   《阪根堂書店》




なんとサプライズで《阪根堂書店》を立ち上げてくれました!



  



あっ、アニキ!


中日の選手は、一塁に出たら「ワンヒットで絶対に三塁まで行ってやる」という気迫を感じさせる。ヒットが出て、ボールが外野に転がった時点で、ランナーはホームまで返るつもりですでに二塁を蹴っている、というようなケースが多々見受けられる。(金本知憲覚悟のすすめ』p.154)


なるほど。






   
     すばらしい選書!



   
     いい本いっぱい《阪根堂書店》!!!



  
  『〈建築〉としてのブックガイド』よろしくお願いします!!!!!






皆さま、ありがとうございました。



2011年7月27日が僕の人生の絶頂点です。



あとは坂を転がり落ちて、地獄へまっしぐら!



気楽なもんですわ。



総理大臣以外だったらなんでもやったるで!



かかってこい!






7月28日、29日は池袋本店渋谷店にご挨拶に行きました。みなさん温かく労をねぎらってくださいました。ありがとうございました。



ふだんは電話でのやり取りが中心だったのですが、もうちょっと他店舗とも交流を深めておけばよかったと今さらながら思います。自分のいる店のことでいっぱいいっぱいで、他店舗がどういう状況で、どういう人がいるのかなど、ほとんど知りませんでした。他店舗の状況が分かっていたら、もう少しちがった動き方ができたかもしれません。反省。






新しい仕事に備えて、宮崎ねえさんを読みながらイメージトレーニン



   


シュリンクってなんですか」
「ああっ。ゴメンネ。ビニール掛けることなの」
「ああっ。なるほど・・・」
「袋に入れて機械に流すだけなの。サイズも見れば分かるんだけど、普通のコミックで140ちょっと大きめ160でゲームの攻略本が180かな」



小さな男の子は切実な声で私に言った。
「あのぉ、ダジャレの本はどこにありますか」
いつどこで誰に言うのか聞きたくて我慢。



「すいません。刺繍の本はどこですか」
「刺繍でございますね。どうぞ、こちらでございます」
私は颯爽と商品の場所までお連れした。
「あのっ、刺繍じゃなくて詩集、詩の本なんですけど・・・」



「すみません」
未来少年コナン激似の男の子がおそるおそる尋ねる。
「あのっ。完全復刻版のゲゲゲの鬼太郎ありますか」
私は猫娘を意識して答えた。
男の子は無念な顔で退散だ。



「すみません定期購読してる平井と申しますが、『過激』入ったって電話いただいたんですけど」
「平井様。『過激』ですね少々お待ちくださいませ」
ハヒハヒの平井様の名前を棚で必死に探しながら涼しい顔して、SM雑誌かな?と思ったら『歌劇』の間違いだった。オホホな発音だ。



(宮崎誉子「POPザウルス(A面)」『日々の泡』所収より)


デ・デジャヴ!!!



い、いかん。まだ切り換えられてない。






いつか、ほんとうに書店をオープンできたら!って思います。


みなさま、本当にありがとうございました。


  




(7月26日)Sendai School of Design


昨年、レクチャーをするチャンスを与えてくださった《Sendai School of Design》から『YearBook2010-2011』を送って頂きました。



  


  


  



ありがとうございます!






僕がレクチャーをした「メディア・スタジオ」からは、《S-meme》というすばらしい本がすでに刊行されているのですが、『YearBook2010-2011』ではその《S-meme》の制作プロセスが掲載されています。



  


  






なお「せんだいスクール・オブ・デザイン」は、今年の開講は無理じゃないかと思われたのですが、特別講座《復興へのリデザイン》が開講されています。





このような充実した講座が開かれているというのは、本当にすごいことだと思います。



僕自身、《東日本大震災復興へのアプローチ》というレポートを毎月発表しようと思っているのですが、転職して、新しい仕事を覚えねばならないとなると、今後は連載するのが難しくなってきました。


ただ、《S-meme》に収録できなかった僕のレクチャーの後半部をなんとかレポートにまとめて、できれば8月中にアップしたいです。書店員活動の1つの区切りとしても、がんばります!



(7月25日)2011年上半期の収穫から

いま発売中の《週刊読書人》に寄稿しました。



   




    わたしの収穫の3冊



   


     中野剛志『TPP亡国論』(集英社新書



   


     堀江貴文『成金』(徳間書店



   


     國分功一郎スピノザの方法』(みすず書房




以上3名に通じるキーワードは「パラダイム・チェンジ」。




(7月23日)トーク大盛況!!!!!

JUNKU 佐々木敦さん×小説家連続トークセッション《特別篇》




出演:青木淳悟×磯崎憲一郎×佐々木敦



タイトル:小説の正面


たくさんのサポーターにご来場頂きました。



ありがとうございました!!!!!



  
     超満員です!!!


  


  
    あれが小説家の青木淳悟です!!!


  
      これが小説家の青木淳悟です!!!


  
      ぶれてるけど、いい写真


  
    これもぶれてるけど、いい写真






青木淳悟の小説を読んだことある人なら絶対思います。「なんじゃ、こりゃ? 青木淳悟ってどんなやっちゃ?」って。 それで今日はやっぱり超満員でした。みんな青木淳悟が何を話すかじっと耳をすましていました。



が、



ふつーでした。



すごく丁寧に律義に答えてくれるのだけど、



超ふつーでした。



   



今日、リブロ渋谷店のゆっきーさんが差し入れしてくださったリーフレット青木淳悟がますますわからなくなる10冊》と同様、



青木淳悟がますますわからなくなるすばらしいトークでした!!!!!



※ リブロ渋谷店で青木淳悟フェアやってますよ。チェケラ!






そして、佐々木敦さんと同僚のMさんが立ち上げ、2009年1月から2010年5月まで全12回、ジュンク堂書店新宿店で行われた《佐々木敦さん×小説家連続トークセッション》が立派な本になりました!!!


佐々木敦『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』




    



    前田司郎


    長嶋有


    鹿島田真希


    福永信


    磯崎憲一郎


    柴崎友香


    戌井昭人


    東浩紀


    円城塔


    桐野夏生


    阿部和重


    古川日出男


    そして、


    青木淳悟

えーと、近々正式に報告しますが、私、今月いっぱいで書店員を卒業し、再び技術屋に戻ることになりました。前職の建築とはまた違う技術を扱うのですが、それはまた改めて。



それで、技術屋に戻ることを決めた時、おそらく本を読まなくなるだろう。特に今まで読み漁っていた思想書や小説は読まなくなるだろうと思ったんです。



ところが、やっぱりそれは違うんじゃないかと最近思い直して、ビジネスパーソンやエンジニアの大半は小説を読んでないと思うのだけど、今日もイソケンさんがそんなことを言っていたから、おそらくそうなのだけど、でも僕はこれからさらに小説を読むようになるんじゃないかって感じるようになってきました。



ここ数日、技術書の読解をさぼって、柴崎友香さんの新刊『虹色と幸運』などの小説を読んでいたのですが、「あれ? 小説やっぱ必要!」って感じたんです。



小説を読んだら、体が求めているというか、忘れかけていた《感覚》がまた芽生えてくるんです。その《感覚》を掴んだのが、この《佐々木敦さん×小説家連続トークセッション》であり、ゲストの12名+1名の小説家の作品を通じてなんです。



う〜ん、ただ、ともかく技術屋は知っておくべきことは知ってないと務まらないから、当面は勉強することがたくさんあって、小説読んでる場合じゃないと思うんだけど、それに小説読んだからといって、会社の収益アップに貢献したり、大発明したりすることはないと思うんだけど、何かちゃんと、それこそ目に見える成果を出せるんじゃないかって思います。



  



書店員冥利に尽きます(涙。。。



みなさま、ありがとうございました。




(7月22日)あしたはトーク!!!!!

■ 「世界の青木」でググったらゴルフの青木が出てきました。残念。



■ がんばれ!青木淳悟!!


JUNKU 佐々木敦さん×小説家連続トークセッション《特別篇》




出演:青木淳悟×磯崎憲一郎×佐々木敦



タイトル:小説の正面




   《刊行記念!!!!!》



   
   佐々木敦さん「小説家の饒舌」(メディア総合研究所)


   
   磯崎憲一郎さん「赤の他人の瓜二つ」(講談社


   
   青木淳悟さん「私のいない高校」(講談社





   《リブロゆっきーさんの差し入れ》



  


明日は超満員でぎゅうぎゅう詰めですが、牛はでません。が、特別にブックリストをお配りします!!!!!








■ 明日はトークがダブルヘッターです。


上記のトーク16:00スタートです。注意してください!


では、 おたのしみに!!!!!



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 ジュンク堂書店新宿店



  ※ 会場は8階カフェコーナーです。




(7月20日小林エリカ》フェアとABCでトーク

小林エリカ『親愛なるキティーたちへ』(リトルモア)刊行記念




    小林エリカ選書フェア


小林エリカさんの旅日記。アンネの日記とお父さんの日記と自分の日記が交錯します。アンネの日記をたどる時に、じぶんのお父さんの日記を併読するというのは新鮮でした。アンネとか歴史的な偉人について調べたり、考えたりする機会はけっこうありますが、自分の親が若い頃、苦難の日々をどのように送っていたのか? 考える機会ってあまりありませんね。





※ グッズも追加しました。充実の棚に仕上がってます!!!!!



   
     (写真1)フェア棚全景



   
     (写真2)充実の選書



  
    (写真3)サイン本あります!



  
    (写真4)展覧会のカタログも販売!!



  
    (写真5)バッジも販売!!!



  
    (写真6)バッグも販売!!!!



   
    (写真7)けっこうデッカイ!!!!!





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 ジュンク堂書店新宿店



  ※ 7階23番・人文書フェア棚で開催中です。


   《あすはトーク:ABC本店開催》


『親愛なるキティーたちへ』(リトルモア)刊行記念



小林エリカ×ホンマタカシ トークイベント





日時:2011年7月21日(木)開始19:00〜(開場18:45〜)


場所:青山ブックセンター本店



申込み: ↓↓↓↓↓

   こちら












 阪根タイガース日記2010年6月


 阪根タイガース


 阪根Jr.タイガース