2010年11月(その1)
(11月22日)観劇デー
岡崎藝術座『古いクーラー』
(11月17日)オススメ
新刊JP《書店員が選ぶ私の3冊》
《ジュンク堂書店新宿店阪根正行さんが選ぶこれだけは読んでおきたいSF小説》
(11月14日)首都大革命
《哲学への権利》上映会&討論会
■■ 日時
11月17日(水)上映=17.00-18.30 討論=18.40-
■■ 会場
首都大学東京 南大沢キャンパス 講堂大ホール(先着順500席)
■■ 討論者
福間健二(表象言語論)
石川知広(仏文学)
岡本賢吾(哲学)
宮台真司(社会学)
西山雄二(仏文学、監督)
■■ 概要
都庁による改革を経て開学した首都大学東京では、移行期間を経て、今年、東京都立大学の名称が消える。歴史的背景をもつこの大学で、映画から出発して人文社会系の教員5名とともに大学や人文学について討論。上映40回目のクライマックス。
■■ 詳細
(11月11日)読書と旅
(11月10日)《中森明夫フェア》開催の理由?
文芸書3強!!!
人文書コーナーに山口智子!?
■ なんか通じてるよね。この人たち
■ 朝日出版・思想・アイドル
思えば、85年春に上梓した共著『週刊本/卒業 KYON2に向って』(朝日出版社)が私がアイドルについて語った最初の本だったろう。「週刊本」シリーズを企画編集された中野幹隆氏(後に哲学書房主宰)が先頃、御逝去された。中野さんとの出逢いがなければ、「アイドルを論じる私」の道筋は今とは随分と違ったものになっていたと思う。よって、最後にこの本は故・中野幹隆氏の「魂」に捧げたい。
(中森明夫『アイドルにっぽん』あとがきより)
ブックフェア(2007年7月1日〜8月31日)
■ そうなんです。中森明夫さんが2007年に開催した『中野幹隆追悼フェア』をご覧になられた。それがきっかけで中森さんがジュンク堂新宿店のフェアに興味を持ってくださった。
今度『アナーキー・イン・ザ・JP』という小説を出すんだ。ジュンク堂新宿店でフェアをやらないか
と声を掛けてくださったのでした。
■ 2004年10月オープンで、僕が働き始めたのが2006年3月からですが、すでにもう歴史が芽生えているのです。
- 作者: 中森明夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/09/29
- メディア: 単行本
- クリック: 77回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
(11月9日)黄金のリレー
■ フェアをはしご。
■ この継投はカンペキだ。
■ 松江哲明の文章、すっげ、いいっす。
由美香さんがココアを出してくれる。僕は、コーヒーを飲めないことを覚えててくれたことに感動した。由美香さんから渡されたマグカップに注がれたココアは市販の味なんだろうが、僕は「すっげ、おいしいっす」と答え、笑われた。そして由美香さんが「で、今日は何を聞きに来たの」と聞いてくれたが、実はこの取材は本編に使うつもりはなかった。大まかな編集はほぼ終えていたし、これまでの取材も講師にダメ出しをされ、「この構成じゃダメだ」と僕の案は批判されていた。だから、この撮影は僕の個人的な動機でしかなかったし、ただ由美香さんの個人的な話を聞きたかったのだ。先日のような「AVについて是か非か」ではなく、由美香さんがどう生きてきて、これからどう生きたいのかを知りたかった。一時間半ほどだったと思う、由美香さんんはAVに出たきっかけ、今仕事が楽しいこと、けどそれだけじゃいけないとも思ってること、そしてお酒が好きなことを教えてくれた。僕はただ話を聞く、それだけのことがいかに楽しいかを実感していた。キャメラがなければこんな夜に年上のお姉さんの部屋でふたりっきりですごす、なんてできないことだ。だけどそれが不思議とすごせていることがなんだかおかしかった。
そんな時、ふと「僕のことも知ってほしい」という思いが生まれた。ふいに、だったと思う。「実は僕、在日韓国人三世なんです。帰化はしてるんですが、ウチでは韓国の習慣とか残ってて、どっか自分が他と違うって感じてるんです」と言っていた。実は映画学校に入学し、韓国からの留学生や年上の同級生とすごすうちに、これまで人に言わなかった在日という立場を意識するようになっていた。五歳で帰化をしていたので、親からは「もう日本人なんだから何も気にすることない」と言われ続け、僕は「じゃあ日本人でなければ問題があったのか」と思うようになり、それをコンプレックスに感じていた。しかし周囲からの目線を気にしない、屈託ない由美香さんの話を聞くうちに、「この人になら知ってほしい」と思うようになったんだろうと思う。すると由美香さんは「へー、私も在日の友達多いよ、なんか腹割って話せるんだよね」と返してくれた。そして「で、キムチとか毎日食べれるんでしょ。私、好きだよ」と。しかし、僕は家族の中で唯一キムチが食べられない。水気のある白菜を口に入れると、辛味がぴゅっと広がるのがたまらなくイヤだ。祖母に「辛いのが苦手なら」と水で洗ったのを食べさせられたが、表面に辛味がない分、噛んだ瞬間に辛味が強まり、それを吐いてしまったのもトラウマだ。由美香さんにそんなことを伝えると「えー、もったいない」と笑われた。こうして本編には使えない取材は終わった。僕も帰らなければいけない。由美香さんが見送ってくれる。扉を閉める時、「松江君、終電大丈夫なの」と心配してくれたが、僕は「いや、全然大丈夫っす」と逃げるようにして帰った。もしあの時「終電ないです」と答えていたら、人生が一変するような経験ができたかもしれないが、童貞の僕にそんなことを言える勇気は微塵もなかった。終電の小田急線の窓に映る自分の姿をセンチメンタルにスローシャッターで記録することで精いっぱいだった。
『裸の履歴書』は完成した。が、わかっていたように失敗作だった。発表会ではまたもこっぴどく批評され、僕はうつむくだけだった。もちろん由美香さんにもビデオを送った。後日お会いした時に聞いた感想は、「松江君、まだまだね」だった。
(松江哲明『セルフ・ドキュメンタリー』より)
セルフ・ドキュメンタリー ---映画監督・松江哲明ができるまで
- 作者: 松江哲明
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/09/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 22回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
- 作者: 中森明夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (31件) を見る
(11月8日)ロッテじゃなくてグリコだけど
■ この本はポッキーとよく合うねぇ〜。うまい!
■ いい文章だ。美しい! 読ませるねぇ〜
その瞬間、真夜中の街角にチラリと動くものを見た。前方に目を凝らすと人影のようなものがある。なんだろう。僕は足を速めると人影に近づいてゆく。・・・少女だった! ごく小柄な、髪の長い少女の後ろ姿が目の前を歩いてゆく。まだ年端もゆかない女の子だろう。短いスカートの裾が揺れ、そこから伸びた脚が夜目にも白い。ふいに少女は足を止めると、チラリと後ろを振り返る。悪寒が走った。その顔は、さっき写真家の事務所で見せられた作品の少女たち、たしかにあの少女らと同じ瞳をしていたのだ! そう、世界を拒絶するあの少女の瞳。少女は後方を振り返りながら、またゆっくりと歩き始める。不思議なことに「拒絶」を示すはずのその瞳は、なぜだか僕には「誘惑」のそれと感じられた。僕もまた彼女の後を追うようにして歩き始める。暗闇に微かに点る青白い街灯の光に照らし出されて、少女の顔は冴え冴えと美しい。決して笑ってなどいないはずなのに、少女の顔にはまるで微笑みにも似た誘惑の気配があった。たしかにこちら側に目を止めたと思うと、彼女は角を曲がって薄暗い路地の方へと入っていこうとする。さながらスローモーション映像のようにゆっくりと角を曲がってゆく。その刹那、少女の長い髪が微かに揺れ、スカートの裾がめくれ上がり、真っ白な腿がほんの一瞬だけ露になった。少女は挑むような瞳で僕を見ている。あの微笑みにも似た誘惑の表情を浮かべて。やがてその姿が路地へと消えようとしている。すると僕もまた意を決するようにして足を踏み出した。
行くな!
・・・頭の奥で声がした。
行くな! 恐ろしいものが待っている。
・・・次第に声がはっきりとしてきた。
絶対行くな! そこには本当に恐ろしいものが待っているぞ!!
・・・でも駄目だった。頭は行くなと命令しているのに、足はまったく逆らえなかった。あたかも磁石に吸い寄せられるようにして、僕は次第に前方へと歩を進めてゆく。もうすぐだ。もうすぐ、もうほんの後少し。目の前にそれは待っている。ほら、目の前のあの角を曲がれば、そこには本当に美しくて恐ろしいものが待ち受けている。そこで、そう、僕は・・・。
(中森明夫『アイドルにっぽん』より)
- 作者: 中森明夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (31件) を見る
- 作者: 中森明夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/09/29
- メディア: 単行本
- クリック: 77回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
(11月7日)野球すげぇ。
■ 僕からは、里崎智也捕手とロッテサポーターにMVPを贈呈しよう!!!
■ おめでとうございます!!!!!
■ あんなに野球やりづらそうにしているドラゴンズを久しぶりにみたよ。
(11月6日)野球すげぇ。
《建築系ラジオ》に出演させてもらった回の《ON AIR》をまとめました!
(11月5日)おおっ!
トークレポート
(11月4日)秋か冬か分からんが、夜長に本とお菓子を
■ この本はキットカットとよく合うねぇ〜。うまい!
■ いい文章だ。美しい! 読ませるねぇ〜
その人の名は、本田美奈子。
85年、『殺意のバカンス』で衝撃的なデビューを飾った彼女は、細身で可憐な小動物顔、ロリータ系の容姿で、いかにも典型的なボンド型アイドル(岡田奈々、松本伊代など、芸能事務所ボンド企画所属のアイドルのこと)と目され、十代の頃の大場久美子の面影をも彷彿とさせる。しかし、その意外な歌唱力たるやどうだろう! すでにアイドルファンたちのあいだでは「歌のうまい大場久美子」という称号が囁かれてもいた。
歌のうまい大場久美子
。
なんという形容矛盾! なんとパラドックスに満ちたレトリックだったことか。大場久美子は歌がヘタであってこそ大場久美子なのだ。「歌のうまい大場久美子」なんて奇妙な生き物がこの世に存在するはずがない。存在してはいけない。さながらそれは「真っ黒なシロクマ」とか「首の短いキリン」とかいった空想上の動物、レトリック(言葉)の上にしか存在しない架空の産物のようにさえ思われてた。
(中森明夫『アイドルにっぽん』より)
- 作者: 中森明夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (31件) を見る
(11月3日)フェア!フェア!フェア!
■ 映画監督の松江哲明さんご来店!
■ なぜって?
■ そこに《松江哲明フェア》があるからさ!!!
■ すげぇーな。この店。
■ この棚、同僚のまっちゃんが創りました。やべぇ。
これだけじゃないよ。《フェア》は、まだまだあるのだよ。まだまだまだあるのだよ。
↓↓↓↓↓↓
美はパンクにあり!《大杉栄復活祭!!》は11月もやります!!!
■ 書評を貼っていったら「アナーキーが見えねーぞー!」って(汗。。。
■ 『アナーキー・イン・ザ・JP』につづいて『アイドルにっぽん』読んでるよ。
アイドルの生態学というのは謎めいているね。スポーツ選手の生態学も謎だらけだけど、こういう世界をずっと観察している人の目はあなどれないよ。 まだ序盤のピンクレディ論だけど、ピンクレディは古いけど、ピンクレディを論じている91年の文章は全然古くないのね。キャラクター論だったりして、これってつい最近の論調だよね。
■ 《アナーキー・イン・ザ・JP》サイン本。あと12冊だよ。急げよ。
《村上春樹で読み解く文学と音楽》フェアも連投だ! 11月もやるよ!!!
■ いい本いっぱいあるんだよね。許光俊さんの『クラシックを聴け!』とか読みてぇーな。
《セゾン文化は何を夢みた》フェア
■ 同僚の梅ちゃんがやってるよ。
■ 今泉正光さんを読んでね、いろいろ勉強するのね。書店員はね。
■ 勉強しないで本ばっかり読んでる人っていいよね。
■ 本を読むことと勉強することは違うんだよね。次元がさ。
内田樹 vs. サンデル
サンデル:「ヘイ! タツル! 本出しすぎだぞ!」
内田:「うるせー! オマエこそポケットから手を出せ!」
(11月2日)徐々に回復
■東浩紀さんにインタビューしてもらった記事の〈後編〉がコンテクチュアズ友の会、会報『しそちず!』第2号に掲載されました!!
■ ありがとうございます!!!
■ 写真に惹かれて「MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店」のレポートばかり読むんだろうけど、この東さんとの話はけっこう重要だと思うよ!いやマジで!!!
■ 会報『しそちず!』第1号の巻頭が建築家の藤村龍至さん、第2号の巻頭がチームラボの猪子寿之さんと青木俊介さん。『思想地図β』のヴィジョンがはっきり見えるというか、ズバリ《理論と実践が伴った人》にターゲットを絞ってる。これすなわち『コンテクチュアズ』ってことですよね。
■ 攻めてるよね。10年代も『思想地図β』の一人勝ち!
■ ってなっちゃうから、周りがもっと動かないと!!!
そこで、
■ 河出が佐々木中を出しましたね。けっこう本気ですね。河出の思想を感じます。
■ 新潮が大澤信亮を出しましたね。新人の批評家の本を出すのは東さん以来だそうです。
■ いい感じで嫌な感じになってきましたね。出版社のカラーがもっとケンカしていいと思いますよ。ガンガンやってください!!