2010年7月(その1)
う〜ん、柴崎友香サポーターとしては口惜し〜い!!
今回はロッベンがいるし、スナイデルもいいし、ブラジルにも勝ったし、絶対優勝間違いなし!って胸を張っていたのに!!!
ま、スペインは強かったよ。認めるよ。
しばちゃんは、オランダかよ!
しばちゃん、ドンマイ!!
でもあれだなー
応援している作家がノミネートされるとやっぱワクワクするなー。
でもあれだなー
やっぱ、タコだなー。
たこ焼きパクパク食ってる大阪人は不利だよなー。
タコす!
(7月11日)門林岳史氏ジュンク新宿初登壇!!!
人文科学誌『SITE ZERO/ZERO SITE』No.3刊行記念トーク
■ タイトル:〈イメージ〉の現在
視ることのアルケオロジー
■ 急遽の開催であったにも拘わらず、40名を超えるお客様にご来場頂きました!
■ ありがとうございました。
■ 私としては、とにかく門林岳史さんに登壇して頂きたかったのです。門林さんは74年生まれで私と同世代ということもありますが、ま、ちょっとした有名人でもありまして、高校の時から全国模試なんかでいつも上の方にいるので多くの人に認知されていたとか、みんなが10点ぐらいしかとれない数学のテストで90点ぐらいとって偏差値100を超えたとか、ま、高校は高橋源一郎さんと同じところでしたが、大学でも学内では有名だったようで、カドバ の愛称(ま、スタバみたいなもんですな)で親しまれ、ドイツ語を半年でマスターしたり、G.Th.フェヒナーの精神物理学についての論文を書いて、思想雑誌の『現代思想』に発表したりとか、おかしなことも色々やっている方なのですが、ま、一言で言えば天才なのですが、アカデミーの世界だけを活動の場とされるとこちらとしては面白くないわけです。一般のお客さんの前でもガンガン発言して欲しい! そういった意味でも今日はよかったです。
ただ残念だったのが相手が田中純先生と港千尋先生だったので、一回り若い門林さんはちょっと抑え気味だったかなと。もっとはちゃめちゃにやってもらってもよかったのですが、、、 今度は石岡良治さんや平倉圭さんといった同世代との対戦カードを組みたいと思います。ご期待ください!!
《会場の様子》
会場の様子:盛況でした。またみなさん真剣に聴き入ってました。
門林岳史先生:冷静な試合運びが印象的でした。今度は乱打戦を希望します!
田中純先生:いつもは事前にシナリオを練って完璧な発表をするというイメージがあるのですが、今日は瞬間、瞬間で想起して答えていたように思います。その語りこそが、田中先生にとっての「ヴァナキュラー」に対する答えだったのかもしれません。
港千尋先生:港先生の話はいつも興味深い。私が行ったことのないまったく知らない場所やそこの人びとの話が、次から次から出てくるので、こちらは休む暇がありません。
《トークを振り返って》
■ さて。今回のトークは、『SITE ZERO no.3 ヴァナキュラー・イメージの人類学』の刊行を記念して行われ、門林岳史さんの適切な進行もあり、本の内容に準拠しつつ、これから本を読もうという人にとっては適切なガイドに、すでに読んだという人にとってはさらなる思考のきっかけとなる、非常にクリアな内容でした。
■ 今日の話では、ジェフェリー・バッチェンという写真史家の仕事が鍵になるのですが、ジェフェリー・バッチェンについては一昨年『photographers' gallery press no.7』で特集が組まれ、日本に紹介されました(この特集の仕事をした主要メンバーである甲斐義明さんと小原真史さんも会場に駆け付けてくださいました)。
■ 『SITE ZERO no.3 ヴァナキュラー・イメージの人類学』と『photographers' gallery press no.7』、まずこの2冊をおさえてください。
photographers'gallery press no.7
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■ そして、今日お越し頂いた田中純先生の『イメージの自然史』と港千尋先生の『洞窟へ』も合わせてご覧下さい。
- 作者: 田中純
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- 作者: 港千尋
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■ これほど刺激的なテキストが揃えば、私でも40〜50枚の原稿は書けますよ。ホント。
■ 最後に私自身の興味も2点ほど補足しておきます。
例えばロザリンド・クラウスは「フィールド」という概念を巧みに扱います。彫刻の基壇もフィールド、美術館の展示場もフィールド、そして美術館の外、大地もフィールドというように。「クラウスのフィールド」は美術館という制度を批判するための戦略として使われていますが、「ジェフェリー・バッチェンのヴァナキュラー」もいわゆる大文字、インターナショナルなものを批判する戦略として使われているようにおもいます。そこで、この両者を比較したらどうでしょうか? 結局同じことなのか、全然違うのか?
ヴァナキュラーと他の言葉との関わりはどのようなものでしょうか。アノニマス、サイトスペシフィック、リージョナリズム(クリティカル・リージョナリズム)、そして特にプラトンのコーラとの関わりはどうでしょうか? 今日もヴァナキュラーをめぐって「起源」が問題になったのですが、プラトンの「コーラ」には起源という意味はありません。哲学者の西山雄二先生の講義に依拠しますが、「コーラー」の喩えとして、プラトンが《母》ではなく《乳母》としている点が重要であると。つまり自らは何も産み出さないという、、、
■ このあたりを独自に論考にまとめて次号のサイトゼロに投稿しようかな、、、
《写真展》開催中
IZU PHOTO MUSEUM
ゲストキュレーター:ジェフリー・バッチェン(写真史家)
(7月10日)横浜ベイスターズの清水直行投手は報徳学園出身で、僕と同い年で、彼が報徳時代にチームメイトだった坂田純一君は、僕が小学校時代にバッテリーを組んでいたパートナーだということもあり、阪神タイガースよりも直行を応援しています。タイガースファンの皆様、ごめんなさい。
■ 昨年フェアに協力してくださった小説家の柴崎友香さんが芥川賞にノミネートされました!!!
《柴崎友香フェア》
■ 今回の「ハルツームにわたしはいない」は、劇的なストーリーがある訳でもないのに、鮮やかな印象がわっと心に広がってくる。バグダッドカフェ(定点観測)でもなくイージーライダー(ロードムービー)でもなく、場所と時間の奇妙なズレ? 柴崎さんがずっと描こうとしてきたことの集大成と言える会心の作品です!!!
■ 柴崎友香フェアで大阪の写真を撮ってくださった山方伸さんの感想です。
■ 柴崎さん、がんばれ〜!!!
■ ま、賞とかどうでもいいんですけど、僕も批評家の端くれなので、柴崎さんの作品については丹念に読んできたので、解明したことをお伝えしておきます。
■ 正直言えば、柴崎さんは『その街の今は』で受賞です。これは審判のミスジャッジだと思います。
■ この件については、僕もちゃんと論文にまとめました。かなり長い論文なので最終節のみ引用します。
- 作者: 柴崎友香
- 出版社/メーカー: 新潮社
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現代小説解読講義:柴崎友香『その街の今は』
漱石の「あはれ」を越えた!?
では、『その街の今は』のクライマックスまで一気に行きます。
漱石は《憐れ(あはれ)》を発見して終わりますが、柴崎さんにはまだその先があります。《あはれ》を表現したフレーズを受けるシーンが後半に出てきます。柴崎さんはカントの「月の住民」に相当するようなことを「あはれ」を受け継いで言い当てるのです。
小野田くんは右手で椅子の背中に掛けてある鞄を探ったけれどなにも出さなかった。
(柴崎友香『その街の今は』p.77)
小野田君は何も出しませんでした。しかし、これが歌ちゃんの場合は中から写真を出して次のように展開していきます。
わたしはようやく良太郎に見せようと思ってきた岩橋さんにもらった写真のことを思い出して鞄を探った。
「あ、お客さんがくれた写真てこれ」
「なに、誰の家?」
テーブルに置いた写真を智佐が覗き込む。いつの間にか、店の中はわたしたちだけになっていて、キッチンにいる二人の店員さんは一息ついて今晩遊びに行く相談をしていた。
「知らん人。たぶんアメリカ村のほうらしいけど」
「めっちゃきれいな。なかなかこんなええ状態のんないで」
良太郎は写真の裏表を返して何回か見て、それから智佐に渡した。
「歌ちゃん、前もこんなん持ってたね」
「集めてるねん、って言うほどでもないけど」
智佐の手にある写真を、わたしは横からじっと見た。当たり前だけど、写真の中の灰色の薔薇は変わらず満開で、何度も見ているうちにあんまりにもたくさん花がくっついているから、作り物じゃないかという気がしてくるくらいだった。
(柴崎友香『その街の今は』p.113)
白いワンピースの女の子の写真を手に取って見ていた智佐が言った。
「この人も、わたしらみたいに、このワンピース心斎橋で買うたり、誰がかっこいいとか言うたりしててんやろな」
「ああー、そういうの、考えたらなんかうれしいよなあ」
良太郎が、お腹の底から実感したみたいな声で言った。その楽しそうな顔を見て智佐は笑った。
「同じ大丸の前に立ってるっていうだけで、めっちゃ親近感湧くやんな。やっぱり、歌ちゃんはこういうのがおもしろくて写真集めてるの?」
智佐がテーブルに置いた写真の中の大丸は、ほんとうに今と違うところを見つけるのが難しいくらいだった。
「そうやなあ。なんで知ってる場所やからってこんなに気になるんかなあ。そんなに愛着があるんかな。わたし、大阪で生まれたし、ずっと大阪に住んでるし」
ストローでとろとろしたラッシーをかき混ぜると、氷が鈍い音をたてた。薄日が透けている磨りガラスの外を、連れだって歩いていくおじさんの声が聞こえた。
「それやのに、ちゃんとした大阪の言葉も食べ物とかも知らへんけど」
「どっからどう聞いても大阪弁やん」
智佐がわたしの背中を叩いて笑った。
「いや、ほら、こいさんいとはんみたいなんあるやん。にぬき、とかさ」
「そんなん、今どき誰も使わへんて」
また智佐が笑った。
「そらそうやけど。なんていうか、自分が今歩いているここを、昔も歩いてた人がおるってことを実感したいねん。どんな人が、ここの道を歩いてたんか、知りたいって言うたらええんかな? 自分がいるとこと、写真の中のそこがつながってるって言うか・・・。だんだんなにを言うてるんかわからんようになってきたけど」
(柴崎友香『その街の今は』pp.115-116)
そしてエンディングへと繋がります。
その向こう隣にあった建物ももう解体が終わったようで、小さな四角い区画が更地になっているのが見えた。わたしは解体されたコンクリートの外壁に残った水色のタイルを見て、ここになにがあったのか思い出そうとしながら、トラックの脇をぐるっと回り、隣の細い更地の前に出た。黄色と黒の金網の衝立で囲まれたその敷地の横には、路地というか、隣の古いマンションとの境の通路があり、その手前のこのあいだまであった建物に隠れていた場所が見えた。右側には四階建ての古いビルの裏側が少しだけのぞき、ひびの入った外壁には前に立っていた建物の屋根のあとが薄黒く残っていた。そして正面には、真っ赤な薔薇に覆われた二階建ての家があった。
わたしは、歩道に突っ立って、その家を見た。二階の木枠の窓は割れているところがあり、人の気配が消えてから長い時間が経っているようだった。それなのに、家中に薔薇の蔓が這い上がり、今までに見たことがないくらいびっしりと赤い大きな花をつけていた。路地の奥なのに、裏が駐車場になっているせいでそこだけ陽が当たっていて、窓の隙間からも蔓が伸びて咲いているいくつもの薔薇を鮮やかな赤に光らせていた。空き家に巻きついた薔薇は、玄関脇のプラスチックの漬物樽から生えていた。漬物樽には割れ目が入り、土がこぼれていた。周りに置かれたままの同じような樽には、土だけが残っていた。もらった写真のあの家と、違うのはわかっていた。路地との位置も違うし、玄関も窓も屋根も違う形だった。だけどこの薔薇の色があの写真の薔薇の色なのだと思った。こんなに深くて鮮やかな赤い薔薇を、わたしは初めて見た。
(柴崎友香『その街の今は』pp.140-141)
今一度確認します。
もらった写真のあの家と、違うのはわかっていた。路地との位置も違うし、玄関も窓も屋根も違う形だった。だけどこの薔薇の色があの写真の薔薇の色なのだと思った。こんなに深くて鮮やかな赤い薔薇を、わたしは初めて見た。柴崎さんはこのフレーズをさらっと描いてますが、トンデモな文章です。確認します。
・今見ている薔薇は写真の薔薇とは違う。
・この薔薇の色は写真の薔薇の色だ。
・この色の薔薇をみたのは初めてだ。
もう滅茶苦茶ですね(笑)。でも、ピンと来ましたか? 歌ちゃんのこの世界観、ものの見方ですが、これは木村敏が《あいだ》で言おうとしていたことですね。デジャヴではありません。またこれは岡崎乾二郎さんがカントの「月の住民」で言おうとしたことですね。経験する主体がそのつど要請するものです。
この心の動きは漱石の《憐れ(あはれ)》では説明できません。《あはれ》は無の境地というか、精神的な武装を解きほどいた時に一瞬見える姿、情です。漱石は最後、那美さんの《あはれ》の表情を導くまえに、床屋の親方、坊主といった精神的な武装を解いた人物を描いて伏線を張っています(夏目漱石『草枕』新潮文庫pp.58-72,pp.130-131等を参照のこと)。
ただ漱石が語っていた《あはれ》は無に違いないのですが、それでも目指すべき方向性を持っています。無の「境地」という感じです。念のため小林秀雄も確認しておきましょう。小林は「あはれ」について様々な言説を残していますが、とりあえずの結論と言えるのは次の箇所です。
要するに、人間の本性は、社会生活という衣の下に深くかくれているという考えが、宣長の「物のあはれ」の説と離す事が出来ぬという点で大事である。「人のつきあひ、世のまじはり」は、人々に、自然の情を制する事を求めて止まないのであるが、その傾向に添うては、真の歌というものは決して生れない。歌は「はかなく、しどけなき」心を制し否定するものではない。逆に、これを肯定し、純化するものだ。「今の心」を「身一ツ」になって直視する事から始まるものだ。
小林秀雄が「物のあはれ」で言い当てようとしていることは、突き詰めればここで柴崎さんが言っている「薔薇の色」のことかもしれません。でも小林の説明ではまだ不十分です。小林も漱石と同様です。氏の場合は「境地」ではなく「純化」ですがやはりまだ方向性を持ってしまっています。「あはれ」がまだ超越的性質を有してしまっているのです。これが超越論的性質へと転回(ケーレ)していかねばなりませんが、それがまだ十分ではありません。
他方、歌ちゃんのこの感覚は境地ではなく強いて言うならば、やはり《あいだ》なのです。これを漱石や小林が言う「あはれ」で説明するとすれば、《あいだ》=《超越論的あはれ》という感じでしょうか。
それから、プラトンが《コーラ》(場)によって言おうとしていたことも確認しておきます。「いつでも、ありとあらゆるものを受け入れながら、また、そこへ入ってくるどんなものに似た姿をも、どのようにしてもけっして帯びていることはない」、「あらゆる生成の、いわば養い親のような受容者」(乳母)。《コーラ》(場)は、目指すとか目指さないとかではなく、また自らはなにも産み出しませんが、常にあるのです。にもかかわらず、こういう言い方はますますおかしいかもしれませんが、言い当てるのが非常に困難なのです。
そんななか、柴崎友香さんの『その街の今は』は一連の描写によって《コーラ》(場)を捉えています。そして、読者にとってこの作品は《コーラ》(場)を感じられる貴重なチャンスだと言えるでしょう。
最後はものすごく難しい話になってしまいました(汗)。でも、こうやって一つ一つ順を追ってみてくると感慨も一入です。「小説家ってやっぱりすごい!」って分かっていただけたでしょうか。柴崎友香さんはさりげない描き方をしますけど、さすがプロですね。現代小説も捨てたもんじゃない!
さて、一応オチもつけておきましょうか。
「これで芥川賞獲れないってどんだけ〜!」
ご静聴ありがとうございました。
(7月9日)
■ 日本一多忙な思想家・東浩紀さんに取材して頂きました。
■ ありがとうございます。
■ 一時間ほどの取材でしたが、大変有意義な時間を過ごせました。10年代の人文書・思想書売場の展望について答えたのですが、自分で言うのもなんですが、答えながら書店員として10年代にやるべきことが見えてきたように思います。
■ 《思想地図》は10年代に向けて《思想地図β》に生まれ変わります。新しいことに積極的に挑戦する人びとの活動を書店員としても掩護射撃できればと思います。
■ 話しあった内容については秘密です。。。
■ 詳細は、2010年8月に発行予定の《コンテクチュアズ友の会・会報誌》に掲載されます。皆様、ふるってご入会ください。
※ 誤解があるといけないので一言だけ補足すると、《友の会》をなにか宗教団体への寄付みたいだと揶揄する人もいるかもしれませんが、「出版業務をいかにして持続させるか」という問題に対して、よく考えられた有効なシステムだと思います。実際に会員の期待に応えるクオリティの本を出版できなければ、会員が離れていくだけなので、なにも怪しいシステムではありません。
《コンテクチュアズ》
(7月6日)最終決戦!
「10年代の文化の地平」
■『神話が考える』(青土者)刊行記念・福嶋亮大・トーク五番勝負最終決戦を聴きに紀伊國屋サザンシアターに行ってきました。
■ 400名近いお客さんが集い、そして熱を帯びた議論が展開され、有意義な時間を過ごしました。
■ MVPは荻上チキさんでしょうか(汗。。。福嶋さんに対して真っ向勝負で論戦を挑んでいました。
の前哨戦?
■ 荻上さんが指摘していたのは、『神話が考える』は、誰に対して挑んでいるのか?どういう緊張関係を築いて乗り越えようとしているのか? ポストモダンを超える新たな準拠枠を用意しようという気があるのか?エビデンスが提示されていないけれども、現実に対して働きかける気があるのか?というようななかなか手厳しいものでした。
■ ただ社会学ベースの荻上さんと文学ベースの福嶋さんとでは現実との距離の取り方が根本的に違うので、そのあたりは、客席の方でチューニングしながら聴いていました。福嶋さんも荻上さんの指摘は了承しつつ、自らの仕事を冷静に位置づけて応戦していたのでよかったと思います。
■ そして、改めて感じたのは福嶋亮大の登場によって、ゼロ年代の定義付けに厚みが増したということです。これまでゼロ年代と言えば =『ゼロ年代の想像力』(宇野常寛)という感じだったのですが、そうではなくなりました。今後、ゼロ年代を語る上で、少なくとも以下の3冊は押さえておく必要があるでしょう。
・福嶋亮大『神話が考える』
■ この3冊はお互いの弱点を相互補完しているので、この3冊をひっくるめて論破するのはなかなか厄介です。それにこの三者は互いに刺激しあって成長していく可能性が非常に高いです。手ごわいです。はい。
■ そう考えると10年代も《思想地図β》の一人勝ち? いやいやSYNODOSの動向、雨宮処凛の次なる一手、あるいは《ストリートの思想》(毛利嘉孝)がどう動くか?にも注目しましょう。
■ もちろん私もなんらかの行動は起こします。
- 作者: 宇野常寛
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- 作者: 濱野智史
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ストリートの思想 転換期としての1990年代 (NHKブックス)
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(7月4日)レーニンもサンデルもびっくり!!!
白井聡『「物質」の蜂起をめざして レーニン、〈力〉の思想』刊行記念トーク
マルクス主義の現代的読み直しへ向かって
白井さんがすごいのか、レーニンがすごいのか、お客さんがすごいのか、いや誰がすごいということではなく、この場に集った人びと、この場で語られたこと全てがすばらしかった。人文書のイベントとしては異例の、入場者数50名を超える盛況ぶりでした。
白井さんがすごいのか、レーニンがすごいのか、お客さんがすごいのか、いや誰がすごいかと言えば、それは國分功一郎さんでしょう(笑)。白井さんの先輩であるという特権(白井さんは國分さんに逆らえない)を振りかざし、
ちょっと立っていいですか。いつも講義のときは立ってやっているんで、いつも通りにやらせてください。
《國分功一郎独演会》
レーニンはもういらない。
サンデルはもういらない。
なぜならば、
我々には、
國分功一郎がいるのだから!!!!!
はい。
いや〜、哲学のど真ん中からこんな人が出てくるとは思いませんでした(笑)。國分さん、面白いです。いや、哲学面白いです。
哲学って無用の用とか言わなくても、ちゃんと本をつくって、ちゃんと本を売ったら、ちゃんと本を買ってもらえるんじゃないか!?
確かに、白井さんの本は難しいのですが、よく売れてます。若い学者(77年生)がなぜレーニンを? 資本主義やばいしレーニン読み直そうか。仕事もリタイアしたしもう一度哲学思想書をじっくり読んでみようか(団塊の世代)。 様々な理由が考えられるのですが、発売から2ヶ月経った今もまだ動いています。
また、國分さんが翻訳された本も難しいです。それに近々刊行される國分さんの「スピノザ論」もおそらく難しいと思います。ただ、今日の会場を見ていると若い学生もたくさんいて、白井さんの著書にポストイットをたくさん貼って読み込んでから来ているんです。まだまだ捨てたもんじゃない。
サンデル売れるし、レーニン売れるし、白井聡がいるし、國分功一郎がいるし、
いける!いける!!
哲学思想書売場、若手を軸に盛り上げていきます。ご期待ください。
※ なお、11日(日)は注目の門林岳史さんが登壇します。ご期待ください!!!
- 作者: 白井聡
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- 作者: 白井聡
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《國分功一郎》
(7月3日)書評掲載!
■ 今、発売中の《週刊読書人2010年7月2日号》に拙者による書評が掲載されました。
松本文夫編『MODELS 建築模型の博物都市』(東京大学出版会)
模型を通じて建築を考察
類を見ない貴重な書籍
■ 今週号の『読書人』は、角田光代×石川直樹対談、金氏徹平(美術家)の紹介記事、坂上秋成の文芸時評、堀千晶(ドゥルーズ研究)の紹介記事などフレッシュに仕上がっています!!
■ ご購読頂ければ幸いです。
《週刊読書人》
- 作者: 松本文夫
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2010/04/01
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(7月2日)熱いトーク!!!
上島春彦『血の玉座
黒澤明と三船敏郎の映画世界』刊行記念トーク
■ タイトル:『黒澤、マキノ、成瀬』
出会う人、すれ違う人 『蜘蛛巣城』を起点に
映画には明るくないのでレポートは勘弁してやってください。 ただ今日のトークは、そんな僕でも十分に面白さを味わえて、上島さん(1959年生)、関口さん(1948年生)、大久保さん(1978年生)と異なる世代の映画好きが、黒澤、マキノ、成瀬を語ると、あの監督の、あの作品の、あの俳優の、あのシーンの、あのセリフというのはちゃんと共有しているのだけど、いやこの共有の仕方が異様で、異常で、見事なパス回しだと感心して聴いていたのだけど、いや今日はサッカーの話は一切なくて、映画のガチンコトークだったのだけど、そうそう世代の差の話で、大久保さんは中二の時にスピルバーグ経由で黒澤明を初めて知ってレーザーディスクで観たと語っていて、関口さんはビデオとかDVDとかない時代だからフィルムセンターでいろいろ観ていて、上島さんは日本では販売していない黒澤のビデオをアメリカに出張に行った友人に買ってきてもらって手に入れたなどという逸話を話してくれて、そうそう世代の差でもう一つ言うと、大久保さんは若いからバンバン言う感じで、関口さんは30%を語って100%を想像させるような含みを持たせた独特の語りで、上島さんは決して若いとは言えないけれど、どちらかと言えば大久保さん寄りで、大久保さん以上に熱くバンバン、バンバン語っておられて、ま、それ以上に異常だったのが会場のお客さんで、お三方が語るマニアックな話にどうもみんなちゃんとついていっているようで、静かな佇まいではあるけれども、うむうむ、ふむふむと、そうそう、将棋の羽生名人の考慮中のような表情で聴き入っているという...... いやはや、映画がすごいのか、先生方がすごいのか、お客さんがすごいのか、要するにみんなすごいっていうことなんだけど、そんな場を眺めていると実に心地よかったでございます。そして7月2日は成瀬巳喜男の命日でした。合掌。
- 作者: 上島春彦
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- 作者: 蓮實重彦,山根貞男
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注目!!《7月11日(日)18:30スタート》受付開始
人文科学誌『SITE ZERO/ZERO SITE』No.3刊行記念トーク
■ タイトル:〈イメージ〉の現在
視ることのアルケオロジー
今晩です!予約なしでも入場OK!《7月2日(金)19:00スタート》受付中
上島春彦『血の玉座
黒澤明と三船敏郎の映画世界』刊行記念トーク
■出演:上島春彦×関口良一×大久保清朗
■ タイトル:『黒澤、マキノ、成瀬』
出会う人、すれ違う人 『蜘蛛巣城』を起点に
- 作者: 上島春彦
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開催間近《7月4日(日)18:30スタート》残席わずか
白井聡『「物質」の蜂起をめざして レーニン、〈力〉の思想』刊行記念トーク
■出演:白井聡×國分功一郎
マルクス主義の現代的読み直しへ向かって
- 作者: 白井聡
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■ 会場:ジュンク堂書店新宿店(8F喫茶コーナー)
■ 申込み: ジュンク堂書店新宿店7階レジカウンター
電話予約も承ります。 TEL 03-5363-1300